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新米訪問看護師が日々勉強したことを書き残していくブログ

【番外編②】仕事終わりに遭遇!息子が初めて目の前で救急車を見た日

こんにちは、管理人のふくです🌿

 

今日は番外編その2をお送りします。

 

※個人情報保護の観点から、エピソードや事例の中に出てくる利用者さんの名前、年齢、病名、家族背景、社会背景はすべて個人が特定されないよう、内容を変えて記載しています。私が感じたこと、看護として大切にしたいことを書きたいと思います。

 

私が長男を産んでフルタイムで復帰した頃ぐらいのお話です。仕事の帰りに近所のスーパーに寄って当時住んでいたアパートに向かって当時3歳の長男とのんびり歩いていた時でした。その日は雨も降っていて雨脚はあまり強くないけれど、私達親子も、周囲を歩く街の人も皆傘をさしていました。

 

向かいから背の高い女性が歩いて来ました。こんなに雨が降っているのに、彼女は左手に持っていた傘をふとおろしたように見えました。その瞬間、そのまま左側へゆっくりと回転するように崩れ落ちてしまいました。

 

ドーン!と物凄い音がして(人間が倒れる時の音ってすごいですよね💦)これは意識消失したとすぐさま駆け寄りました。

 

顔面蒼白で、それも思い切りコンクリートの歩道に倒れたので頭も打っており歩道には血溜まりが。すぐさま脈を取りましたがかなりの不整で、しかも微弱。撓骨動脈(いわゆるみなさんが一般的に脈を触れる手首のところです)が触れているので最低でも血圧はあるなと判断しましたが、頭を打っているしむやみには動かせない。

 

周囲の通行人がおろおろしながらも数人声をかけて下さったので、一人にはおそらくスーパーにあるであろうAEDを探しにいってもらい、もう一人にはまず回復体位にできるよう手伝ってもらいました。これはふとした時に嘔吐して窒息を防ぐためです。

 

当時3歳だった息子はぽかん。通行人の一人にやや高齢のおじいさんがいらっしゃったので、その方に「息子を見ていてもらえますか」と頼むと息子の手を握って「お母さん今頑張ってくれているから、端の方で待てるかい」と息子に声をかけてくださいました。

 

別の通行人に救急車を依頼しましたが「番号は何でしたっけ」とかなり動揺されておりやっぱりこういう自体になると人間「119」も出てこなくなるのだなあと実感しました。救急隊の指示に従って答えれば大丈夫と伝え、救急車はその方に依頼。私は倒れた女性の止血は最低限行わねばと思いつつも、さすがに血液にグローブなしで触れるわけにもいかず、スーパーの魚や肉を入れていたビニル袋を手にはめて、持っていたハンカチでとりあえず圧迫しながら全身を観察しました。

 

頭は毛細血管が多いので、出血量は多く見えますが傷自体は深くなさそうでした。女性は転んで意識消失したのではなく、崩れ落ちるように倒れたためおそらく歩行中になにか起きたのだろうと思いましたが、特に持ち物にヘルプマークなども見当たらず(持病を抱えている方などはヘルプマークを付けている方もいらっしゃるので)。

脈は相変わらず不整でかなりのBradyだったので洞不全症候群に伴う意識消失だったのかもしれません。いずれにしても救急隊が来て心電図などを付けてもらわない限り詳しいこともわからないので待つことに。

 

そんな時スーパーからAEDを持ってきてくれ、準備している間に救急車も到着。救急隊に引き継ぐ頃には女性も意識を取り戻したようでした。

無事に救急隊に引き継いだ後、協力してくれた通行人のみなさんと「お疲れ様でした」とご挨拶。ふと横を見ると普段あれだけやんちゃな息子が大人しくおじいさんに手を引かれて私のところまで戻ってきていました。

「あのひとは、助かるの?」と一言だけ長男が言いました。

どうなるかはわからないけど、意識は取り戻していたので「きっと大丈夫」と話すと息子も安堵したようで「救急車近くで初めて見た!」とようやく笑ってくれました。

 

 

当時3歳だったにも関わらず、長男は雨の日のあの出来事を覚えているそうです。救急車を間近で見たのも初めてだったし、いつものお母さんと違った、ということもなんとなくずっと記憶に残っているそう。

そんな場面に立ち会ったからか、消防署でのAED訓練には積極的に参加してくれる長男、すっかり手付きも様になっていて、垂直な心臓マッサージができていました。笑

 

AEDの講習は自動車学校の免許の更新時などにも行われますが、それも何年かに一回の話。使用方法はすごく簡単ですが、女性が倒れた時に駆けつけてくれた通行人の方も使ったことがないとなんとなく抵抗感があるようでしたし、チャンスがあればどんどん講習は受けておきたいですね。私自身も道端でバイスタンダーになったのはこの時が初めてだったので、貴重な体験を大切に、仕事での急変時の対応にも活かしていきたいですね。

 

※個人情報保護の観点から、エピソードや事例の中に出てくる利用者さんの名前、年齢、病名、家族背景、社会背景はすべて個人が特定されないよう、内容を変えて記載しています。私が感じたこと、看護として大切にしたいことを書きたいと思います。